糖尿病の症状は?
・のどが渇く
・尿の量が増える
・疲れやすい
・体重が減る
糖尿病とはどんな病気ですか?
糖尿病とは、血糖値が高くなりすぎている状態が長く続くことで、体に良くないことが起こってくる病気です。糖尿病は、その名前から尿に糖が出る病気と思われがちですが、本当に問題となるのは尿糖が出ることではなく「血糖値が高いこと」です。人が生きていくにはエネルギーが必要ですが、そのひとつがブドウ糖です。血糖値とは、血液中のブドウ糖のことをいいます。体の中では、このブドウ糖がエネルギーとしてうまく使われるように調節するシステムができています。膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンは、血糖値を下げ、ブドウ糖をうまく利用するための役割を果たします。糖尿病とは、このインスリンが膵臓から出なくなったり、肥満や運動不足などで効き目が弱まったりすると、身体に取り入れられたブドウ糖がうまく利用されずに血液中に多くなってしまいます。これがすなわち血糖値が高くなっている状態です。
糖尿病はどうして治療が必要なのですか?
血糖値が高いと「のどが渇く」「尿の量が増える」「疲れやすい」「体重が減る」などの症状が出てきます。しかし、このような症状が現れるのは血糖値が相当高くなってからです。つまり、糖尿病は多くの場合、自覚症状がない病気と言えます。それではなぜ、糖尿病の治療が必要なのでしょうか?
それは、糖尿病は「合併症」が怖い病気だからです。自覚症状はなくても、血糖値が高いと糖尿病の合併症はどんどん進んでしまいます。長年にわたって高血糖が続くと、動脈硬化による血管のダメージや、糖尿病の3大合併症(目・腎臓・神経の合併症)が引き起こされます。こういった合併症を防ぐために、血糖値を下げることが糖尿病の治療の目的です。
糖尿病の合併症には、どのようなものがありますか?
血糖値が高いことによって起きる、糖尿病の合併症は大きく2つに分けられます。「3大合併症」と、「動脈硬化による合併症」です。動脈硬化による合併症は、糖尿病以外にも高血圧・高コレステロール血症・喫煙などが関わってきます。
糖尿病の代表的な合併症(とその症状など)
【3大合併症(糖尿病に特有のもの)】
・糖尿病神経障害(しんけいしょうがい):両足のしびれ・痛み、立ちくらみ など
・糖尿病網膜症(もうまくしょう):視力低下、失明 など
・糖尿病腎症(じんしょう) :むくみ、息切れ、疲れやすさ など
【動脈硬化による合併症(糖尿病以外にも原因があるもの)】
・心筋梗塞(しんきんこうそく):急な胸の痛み など
・脳梗塞(のうこうそく):手足のまひ、呂律がまわりにくい など
・閉塞性動脈硬化症:歩いたときの足の痛み 足が黒く腐る(足壊疽;あしえそ)など
しかしながら、これらの合併症や症状は糖尿病になってすぐに出てくるわけではなく、血糖値が悪い状態を何年も放置した場合に、徐々に現れてくるものです。
ですので、健康診断や人間ドックなどで
・血糖値が高いといわれた。
・おしっこに糖が出ているといわれた。
・ヘモグロビン・エーワンシーが高いといわれた。
こういったことは、症状がない初期の段階で「自分は糖尿病かもしれない」と気が付くことができるチャンスともいえます。
糖尿病の治療の目的は、血糖値を良い状態で維持することで合併症の発症を予防して、健康な人と同等の「寿命」と「生活の質」を確保することです。網膜症で目が見えなくなったり、腎症で人工透析になったりすると「生活の質」は大きく落ちてしまいます。糖尿病は、早期発見・早期治療をすることで合併症を進めないようにすることがとても大切です。
ふくおか内科クリニックでは、糖尿病の合併症の状況を定期的に確認して、知らないうちに合併症が進んでいかないように注意して診療していきます。
「1型糖尿病」や「2型糖尿病」とはなんですか?
糖尿病の原因はいろいろありますが、一般的には大きく2つにわけられます。一般的に多くみられるのは「2型糖尿病」です。主に成人(多くは40歳以降)に発症します。もともと糖尿病になりやすい体質(親が糖尿病の方は、要注意です)に、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、肥満、ストレスなどが加わることによって発病する、いわゆる「生活習慣病」の1つです。食事療法・運動療法を中心に治療を行い、必要に応じて薬の内服、インスリン注射などを行います。
それに対して「1型糖尿病」は、インスリンを出す膵臓のベータ細胞が破壊されることで、インスリンが全く出せなくなって血糖値が非常に高くなる病気です。生活習慣とは関係はなく、子供に発症することもあります。原因としては、自己免疫反応やウイルス感染が関わると考えられておりますが、はっきりとしたことはわかっておりません。自分の膵臓からインスリンが出せなくなりますので、インスリン注射による治療が必要です。
どのようなタイプの糖尿病なのかを知ることは、適切な治療方法を提案するためにとても大切なことです。ふくおか内科クリニックでは、1型糖尿病などの特別なタイプの糖尿病を見落とさないように確認していきます。
糖尿病の診断はどうやってしますか?
糖尿病は、高血糖を証明することによって診断します。
・朝食を食べていない状態で測った血糖値が126mg/dl以上
・食後に測った血糖値が200mg/dl以上
・75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間値が200mg/dl以上
・HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が6.5%以上
これらが糖尿病と診断する基準になります。
治療法
糖尿病の治療には「食事療法・運動療法」「飲み薬」「インスリン注射」があります。
01.食事療法
糖尿病の治療で最も基本で、いちばん大切な治療方法です。
はじめて糖尿病と診断された方が「これからはもう好きなものを食べたり飲んだりできないから、それが一番ショック」とおっしゃることを何度か耳にしたことがあります。しかしそれは大きな間違いで、糖尿病と言われたからといって、絶対に食べてはいけないものは基本的にはありません。糖尿病食とは決して制限食ではなく、「その人の体形・生活・年齢に見合った適切な量と、栄養バランスの整った食事」と言えます。ですので、糖尿病ではない人にとっても健康的な食事として勧められるものです。
食事療法をするにあたって、3つのポイントがあります。「適正なエネルギー量」「適正なバランス」「適正な食事時間」の3点です。これらの指導のポイントは、その方の体形や生活習慣によって変わってきます。
「適正なエネルギー量」とは、わかりやすく言うと1日のカロリーのことです。
おおよその目安は、
身長150cm:1日総カロリー 1,400キロカロリー
身長160cm:1日総カロリー 1,600キロカロリー
身長170cm:1日総カロリー 1,800キロカロリー
これくらいになりますが、その方の肥満度や、日常生活の活動量などで調整していきます。
「適正なバランス」とは、炭水化物・タンパク質・脂質のバランスと、ビタミン・ミネラル・食物繊維などのバランスです。だいたい、炭水化物で1日の半分くらいのカロリーをとり、20~25%程度をタンパク質で、残りを脂質でとるのが良いといわれています。ビタミン・ミネラル・食物繊維が不足しないように野菜や海藻類をしっかり摂り入れることも大切です。
「適正な食事時間」とは、3食規則的に食べること、早食いをしないこと、寝る前3時間は食べないようにすること、などが良いといわれます。その方の今までの生活スタイルがありますので、できることから取り組んでいくと良いでしょう。
ふくおか内科クリニックでは、院長や、糖尿病療養指導士の資格を持った看護師によって具体的な指導をさせていただきます。
02.運動療法
運動療法も糖尿病治療の基本です。しかし、運動が苦手だったり、運動をしたくてもなかなか時間がなかったりという方もいます。また、糖尿病の状態によっては、運動の制限が必要な方もいます。ふくおか内科クリニックでは、運動をしてもよい状態か、どんな運動が無理なくやっていけるかを判断し、患者さんひとりひとりに合った具体的な運動療法についてご提案いたします。
運動療法には、「血糖値を下げる」「体脂肪が減る」「血液のめぐりが良くなる」など、たくさんのメリットがありますが、その中でも最大のメリットは「インスリンが効きやすい体になる」ことです。肥満のある2型糖尿病患者さんでは、インスリンに対して筋肉や脂肪細胞の反応が弱くなり血糖値が下がりにくくなっていますが、運動を続けることによってこのような状態が改善されます。
糖尿病に有効な運動としては、ウォーキングや自転車、水泳などの有酸素運動が勧められます。有酸素運動は、1回に20~40分を目安に行い、週3 回以上実施するとよいといわれています。無理なく、そして楽しくできる運動を生活に取り入れて、習慣にして長く続けることが大切です。有酸素運動をする時間がない場合は「駐車場では車を遠くにとめて歩く」「なるべく階段を使う」といった工夫をしてみましょう。自宅でラジオ体操を行うもの良いでしょう。
また、最近は、レジスタンス運動(筋トレ)も取り入れると良いということが言われています。加齢に伴い筋肉量や筋力が低下する状態を「サルコペニア」といいますが、サルコペニアでは糖尿病のコントロールが悪くなりやすかったり、自立した生活がだんだん難しくなりやすかったりすることがわかっています。スクワットやダンベル体操、ゴムバンド運動などがお勧めです。体を痛めないように、無理せず行っていきましょう。
※飲み薬やインスリンなどで治療をしている患者さんは、運動中に血糖値が下がりすぎて具合が悪くなる「低血糖」になる可能性があります。自分の使用しているお薬について、低血糖の可能性を担当の医師に確認しましょう。また、必ずブドウ糖やジュースなどを持ち歩きましょう。運動する時間帯は、低血糖の心配が少ない食後に行うとよいでしょう。
03.薬物療法
食事運動療法だけで血糖値が下がりきらない場合は、薬を内服したり、注射したりして血糖値を下げていきます。
薬物療法には、飲み薬・インスリン注射薬・GLP-1注射薬があります。血糖値の状態・糖尿病のタイプ・腎臓の状態・年齢などに合わせて使用されますので、治療の順番は特に決まっているわけではなく、どの薬剤からでも治療を開始する可能性があります。いくつかのタイプの飲み薬を組み合わせたり、飲み薬と注射薬を一緒に使ったりすることもあります。
飲み薬には、「インスリンが出るのを助けるもの」「インスリンの効き目を良くするもの」「食後の糖の吸収を穏やかにするもの」「尿に糖が出るのを促すもの」などがあります。
それぞれ効果が違いますし、飲む回数や飲むタイミングも違います。
注射薬には大きく2種類があります。「インスリン注射」と「GLP-1注射」です。
インスリン注射は、インスリンそのものを注射します。量を調整することで、必ず血糖値は下がってきます。インスリンには、効き方が違ういくつかの種類のものがあります。打ち方も1日1回の方もいますし、1日4回必要な方もいます。
GLP-1注射は、正確には「GLP-1受容体作動薬」という薬です。インスリンではありませんが、膵臓から自前のインスリンを出すサポートをする注射です。1日1回打つタイプが多いですが、週1回で済むものもあります。食欲が出すぎるのが抑えられ、体重が減りやすくなるメリットもあります。
以上のように、糖尿病治療薬にはたくさんの種類があり、患者さんひとりひとり、どの薬を選んで治療するかはとても大切です。ふくおか内科クリニックでは、その方にとって一番メリットが大きいと考えられる薬剤を、費用面とのバランスも考慮してご提案するよう心掛けて診察させていただきます。
糖尿病治療の費用はどれくらいかかりますか?
健康診断で血糖値がひっかかった方や、自覚症状から糖尿病が疑われる方がクリニックに受診した場合、血液検査と尿検査を行います。
診断に必要な検査として「血糖値」「HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)」があり、これは全ての方で行います。糖尿病の検査をするときには、他にも生活習慣病が隠れていないか検査をしたほうが良いですので「コレステロール・中性脂肪」や「尿酸値」が追加になることが多いです。また、肝臓や腎臓の状態を調べておくことも重要ですので肝機能検査として「AST, ALT, ガンマGTP」、腎機能検査として「尿素窒素・クレアチニン」を加えることも一般的です。自分の膵臓からどれくらいインスリンが出ているかを調べる「Cペプチド」を調べることもあります。尿検査では主に「尿タンパク」や「尿ケトン体」を確認します。
以上の血液・尿検査と診察で、お会計の際にお支払いいただく費用は、3割負担の方で3000円前後になることが多いです。
糖尿病と診断された場合は、基本的には月1回受診していただくこととなります。
内服治療の方:3割負担で約2500円~3000円
インスリン治療の方:3割負担で約4500円~7000円
※インスリンの場合、血糖自己測定をどれくらいの頻度で行うかで費用が変わってきます。
検査結果は丁寧にご説明いたします。
検査データの見方は、なるべく専門用語を使わずに丁寧に解説していくように心がけていますので、糖尿病がご心配な方はぜひご相談ください。
ふくおか内科クリニック 院長 福岡勇樹
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