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2022.08.08

筋肉が減ってしまった状態「サルコペニア」って?

糖尿病 老年内科

サルコペニアってご存知ですか?

サルコペニアとは、加齢や運動不足などの影響で、筋肉や筋力が減ってしまう状態をいいます。
(「サルコ」は筋肉、「ペニア」は減少という意味です)
 サルコペニアになると、「歩くのが遅くなる」「転んだり骨折したりする危険性が増加する」「着替えや入浴などの日常生活の動作が困難になる」「死亡率が上昇する」など、さまざまな影響が出てきてしまいます。
そして、将来的には寝たきりになってしまうリスクが高い状態といえます。

特に糖尿病の方は、そうでない方と比べて筋肉量が減りやすいことがわかっており、サルコペニアになる確率は3倍も高いことがこれまでの研究でわかっています。

サルコペニアにならないためには、何を気を付ければ良いでしょうか?

栄養(タンパク質・ビタミンD)と運動が大切です!

 筋肉を効率よく増やすためには栄養をしっかりとることがとても重要です。筋肉に必要なタンパク質は、とくに大切な栄養素となります。筋肉はタンパク質でできていて、合成と分解が常に繰り返されているので、食事でタンパク質をしっかりとることが必要です。タンパク質の中でも、特に「ロイシン」というアミノ酸が筋肉の合成にとても重要です。
 筋肉が十分にある人が筋肉を維持するためには、高齢者の場合で、1日に体重1kgあたりタンパク質1.0〜1.2gを目安にとるようにすると良いでしょう。体重が60kgなら1日に約60〜72gが必要です。しかし、サルコペニアになっている人が筋肉を増やそうとした場合、それでは足りないとされていて、1日に体重1kgあたり1.2〜1.5g、体重60kgなら1日に72〜90gのタンパク質をとる必要があるとされています。

※注意点
タンパク質をたくさんとろうとすると塩分も多くとってしまいがちなので、高血圧がある方は注意が必要です。腎臓が悪くてタンパク質制限が必要な方はかかりつけの医師に相談が必要です。また、肥満になっては良くないので、食事全体のエネルギー摂取量は増えすぎないようにしましょう。

 筋肉にとってもうひとつの大切な栄養素は、ビタミンDです。筋肉の合成を促進する作用があり、骨も強くします。ビタミンDは、キノコ類・魚・鶏卵などに多く含まれています。サプリメントの接種も良いでしょう。また、日光に当たることで体の中で合成されるため、太陽の光に当たることも大切です。

運動について
 筋肉量を維持するためにはレジスタンス運動(筋力トレーニング)が欠かせません。
有酸素運動(1日に7,000歩程度歩けると理想的です)と、筋力トレーニングを組み合わせるとより効果的です。
筋力トレーニングでは、体を痛めないように気を付けましょう。高齢者では、ダンベル運動やゴムチューブを使った運動、スクワットなどが良いでしょう。 
 とくに、大きな筋肉がある大腿・下腿を中心に筋トレを行うと、効率的に筋肉を増やせます。楽しんで続けられるように、無理せず日常生活にとりいれていきましょう。

サルコペニアになると、QOL (生活の質)がかなり悪くなってしまいます。
いつまでも健康的で、活動的な生活ができるように筋肉・筋力の維持を心がけていきましょう。



ふくおか内科クリニック 院長 福岡勇樹

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