新規2型糖尿病治療薬のGIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」について、詳しく解説します。
糖尿病治療の進歩は目覚ましく、近年は次々と新薬が登場しています。
令和5年4月、血糖値改善効果に加えて体重減少効果がある「マンジャロ」が処方できるようになりました。
お問い合わせやご質問を多くいただくことから、マンジャロの特徴や使い方について解説します。
マンジャロってどういう薬?
マンジャロは、GIP/GLP-1受容体作動薬という新しいタイプの薬です。
マンジャロは商品名で、一般名はチルゼパチドといいます。
週1回の注射薬になります。
今までも、「トルリシティ」や「オゼンピック」という週1回タイプの注射はありました。
これらはGLP-1受容体作動薬です。
マンジャロは、それにGIPの働きも併せ持つ薬です。
GLP-1とGIPとは?
GLP-1もGIPも腸管ホルモンの一種で、食事を摂取することで分泌され、膵臓からインスリン分泌を促すことで血糖値を改善させる役割をもっています。GLP-1は満腹中枢に作用して食欲を抑えることで、食事の量を減らす効果があります。GIPはインスリン分泌だけではなく、グルカゴンというホルモンも分泌させる特徴があります。グルカゴンは肝臓や脂肪細胞で、脂肪分解を促進したり、食欲を抑制したりする作用があります。
これらの効果によって、血糖値を改善させるだけでなく、食欲のコントロールそして体重減少の効果を併せ持つのがマンジャロの特徴です。
マンジャロの体重減少効果について
日本での臨床試験(マンジャロを52週間使用した変化量)の結果では
マンジャロ5mg:マイナス5.8kg
マンジャロ10mg::マイナス8.5kg
マンジャロ15mg:マイナス10.7kg
となっております。
かなりの体重減少効果が見込めます。
マンジャロの使い方について
週1回の皮下注射になります。
「アテオス」という1回使い切りの注射器に薬剤が入っております。
簡単に注射が可能で、痛みもかなり少ないです。
2.5mgで開始し、4週間後に5.0mgに増量します。
効果不十分の場合は、2.5mgずつ最大15mgまで増量が可能です。
費用はいくらくらいかかるの?
マンジャロ1本にかかる費用です。
2.5mg:1924円(3割負担で577円)
5.0mg:3848円(3割負担で1154円)
7.5mg:5772円(3割負担で1731円)
10mg:7696円(3割負担で2308円)
12.5mg:9620円(3割負担で2886円)
15mg:11544円(3割負担で3463円)
1か月で4本使用した場合、3割負担の方で1か月あたり約2300円~13800円になります。
※5.0mgの投与でかなり治療効果が見込めますので、その場合は約3800円です。
また、クリニックでは再診料や検査料の他「在宅自己注射管理料(650点/3割負担の方で1950円)」がかかります。
まとめです
2型糖尿病治療薬の「マンジャロ」について詳しく解説させていただきました。
新薬なので、これまでは2週間ごとの通院が必要でしたが、令和6年4月からは4週間以上の長期処方が可能となります。
マンジャロによる治療は、内服治療と比べますとやや費用が高くなってしまいますが、なかなかHbA1cが治療目標に達成しない方や、体重が減らせず肥満傾向でお悩みの方には大きな効果が見込める可能性があります。
マンジャロによる治療をご希望の方は、ぜひご相談ください。
ふくおか内科クリニック
院長 福岡 勇樹
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