ウゴービ皮下注(セマグルチド)の効果や作用機序について、詳しく解説します。
令和6年2月、厚生労働省より「肥満症」の治療薬としたウゴービ(セマグルチド)が正式に承認されました。
肥満症治療薬として期待される「ウゴービ」について解説します。
当院ではウゴービによる肥満症治療(自由診療)を令和7年6月より行っております。
詳しくはページ下部のリンクより、「肥満外来(メディカルダイエット・医療ダイエット)」の記事をご覧ください。
肥満症の方にとって、30年ぶりの新規治療薬です。
これまで「肥満症」に対する保険診療で使用可能な薬物療法としてはサノレックスや防風通聖散くらいしかありませんでした。サノレックスは「高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35kg/m2以上)」にしか使用できず、処方は3か月間までという期間の限定があり、また強い副作用が出る場合があり慎重に使う必要がありました。防風通聖散は副作用が少なく使用しやすい薬剤でしたが、体重減量効果に個人差が大きいことが問題でした。
今回ご紹介するウゴービは、以下の場合の肥満症に特に効果的と考えられております。
※肥満症があり、下記に関連した健康障害がある場合:
1. 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
2. 脂質異常症
3. 高血圧
4. 高尿酸血症・痛風
5. 冠動脈疾患
6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
7. 非アルコール性脂肪性肝疾患
8. 月経異常・女性不妊
9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10. 運動器疾患 (変形性関節症:膝・股関節・手指関、変形性脊椎症)
11. 肥満関連腎臓病
当院でウゴービによる医療ダイエットが可能になるBMIと身長体重の基準について
当院でウゴービ注射による肥満症治療(GLP1メディカルダイエット)が開始できる体格の目安です。
体格の目安としては、【BMI 23以上】の方が適応となります。BMI 22台以下の方は当院ではお受けすることができません。一般的に肥満とされるBMI 25以上が、より望ましい開始基準になります。
BMI 23(開始が可能な基準)とBMI 25(開始が望ましい基準)の目安となる体格は以下のようになります。
身長 / BMI 23の体重 / BMI 25の体重
145cm / 48.3kg / 52.5kg
150cm / 51.7kg / 56.2kg
155cm / 55.2kg / 60.0kg
160cm / 58.8kg / 64.0kg
165cm / 62.6kg / 68.0kg
170cm / 66.4kg / 72.2kg
175cm / 70.4kg / 76.5kg
180cm / 74.5kg / 81.0kg
※美容・痩身目的の薬剤使用は当院では行っておりませんので、体格の基準に該当しない方は開始できません。
※BMIとは、ボディ・マス・インデックスの略で、体格を表す指数です。BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) で計算されます。
ウゴービってどんな薬?
ウゴービの有効成分であるセマグルチドはGLP-1受容体作動薬と言われ、既に糖尿病治療薬として「オゼンピック皮下注」という薬剤名で使用されています。
GLP-1は、脳の満腹中枢に作用して食欲が出過ぎることを抑えたり、胃内容物の排泄を遅らせて満腹感を高めたりすることで、体重減少作用があります。
投与方法は「オゼンピック」と同様、週1回皮下注射を行います。
用量は0.25㎎、0.5mg、1.0㎎、1.7mg、2.4mgの5段階があり、0.25mgからスタートし4週毎に増量することが可能です。
ウゴービの効果はどれくらい?
気になる体重減少の効果として「STEP6試験」を紹介します。
これは日本人を含んだ東アジア人を対象とした臨床試験です。
治療開始して68週後の体重変化の評価で、
ウゴービ2.4mg群でマイナス13.2%
ウゴービ1.7mg群でマイナス9.6%
プラセボ群でマイナス2.1%
という結果になっています。(※対象患者は「ウゴービ」適応患者と同じです)
約13%のダイエット効果はかなりの成果と思われます(体重100kgの方は、13.2kgの減量効果ということになります)
副作用としては、有害事象に関しては、ウゴービ2.4mgで86%、1.7mg群で82%、プラセボ群で79%と報告されています。特に、嘔気・下痢・便秘などの胃腸障害が多く、ウゴービ2.4mg群で59%、1.7㎎群で64%、プラセボ群では30%といった結果でした。GLP-1には胃の動きを抑える作用があるので、嘔気や胃もたれのような症状は効果そのものとも捉えられます。
費用はどれくらい?
当院で行っている肥満外来(メディカルダイエット・医療ダイエット)での費用です。
費用は保険外で、すべて自費でのお支払いになりますのでご了承ください。
・ウゴービ 0.25mg:1本 5,500円 (2週分:11,000円、4週分:22,000円)
・ウゴービ 0.5mg:1本 9,900円 (2週分:19,800円、4週分:39,600円)
ウゴービ 1.0mg以上をご希望の方は、受診された際にご説明いたします。
まとめ
新規肥満症治療薬「ウゴービ」について解説しました。
これまで日本では、長期間処方できて高いダイエット効果が見込める肥満症治療薬がありませんでした。
しかし今回、このウゴービによって多くの肥満症の方に対して治療が可能となりました。
肥満症の方が体重を減らすことで生活習慣病の発症予防になりますし、様々な健康障害を未然に防ぐことが期待されますので、使うべき患者さんが適正に使用すればメリットは大きいと考えられます。
※令和7年6月現在、クリニックでは保険適応にはなりませんので自費診療となっております。
ウゴービを処方するにあたっては、注射の使い方や副作用のことなどを説明させていただいた上での適正使用が必要になる薬剤です。
ふくおか内科クリニックではGLP-1受容体作動薬の多くの使用経験がございますので、ウゴービによるメディカルダイエットが皆様の健康状態を維持することにに役立てばとても嬉しく思います。
肥満症でお悩みの方はぜひご相談ください。
※当院で行っている肥満外来の自由診療では、「ウゴービ」と「マンジャロ」を使用することが可能です。詳しくはトップページのお知らせをご覧ください。下記リンクもご参照いただければ幸いです。
ふくおか内科クリニック 院長 福岡勇樹