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2026.02.24

ヒートショックと血圧について

高血圧

ヒートショックと血圧について

― 寒い季節に気をつけたい体のサイン ―

冬になると、「ヒートショック」という言葉を耳にする機会が増えます。とくに高齢の方が入浴中に倒れた、というニュースとともに紹介されることが多いかもしれません。しかしヒートショックは、特別な人だけに起こるものではありません。背景には「血圧」の大きな変動があり、年齢を問わず注意が必要です。今回は、ヒートショックと血圧の関係、そして今日からできる予防法について、わかりやすく解説します。

ヒートショックとは何か?

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下し、体に負担がかかる現象のことです。特に問題になるのが、寒い脱衣所から熱い浴室へ移動する場面です。

寒い場所では、体は熱を逃がさないように血管をぎゅっと縮めます。すると血圧は上昇します。その状態で急に熱い湯船に入ると、今度は血管が一気に広がり、血圧が急激に下がります。この「急上昇」と「急降下」が短時間に起こることが、ヒートショックの正体です。

血圧が急に下がると、脳へ送られる血液が一時的に不足し、めまいや失神を起こすことがあります。浴槽内で意識を失えば、溺水につながる危険もあります。また、急激な血圧上昇は心臓や血管に強い負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中の引き金になる可能性も指摘されています。

血圧はなぜそんなに変わるのか

血圧は常に一定ではありません。運動、緊張、睡眠、気温など、さまざまな影響を受けて日々変動しています。とくに気温は大きな要因です。

寒さを感じると、体は自律神経の働きによって血管を収縮させます。これは体温を守るための自然な反応です。しかしその結果、血圧は上昇します。逆に、温かい環境では血管が拡張し、血圧は下がります。

若くて血管がしなやかな人は、こうした変化に比較的うまく対応できます。しかし加齢や高血圧、動脈硬化がある場合、血管の弾力が低下しているため、血圧の変動がより大きくなりやすいのです。

入浴と血圧の関係

入浴はリラックス効果があり、血流もよくなるため、健康に良い習慣といえます。しかし入り方によっては危険が伴います。

熱いお湯(42度以上)に長時間つかると、血管が急激に拡張し、血圧が下がりすぎることがあります。また、湯船から急に立ち上がると、重力の影響で血液が下半身に集まり、さらに血圧が低下します。これを「起立性低血圧」といいます。

とくに高血圧の治療中で降圧薬を服用している方は、血圧が下がりやすい状態にあります。そこに急な温度変化が加わると、予想以上に血圧が低下することがあります。

ヒートショックを防ぐために

ヒートショックは、環境を整えることで予防できます。大切なのは「温度差を小さくすること」です。

まず、脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておきましょう。小型の暖房器具を使ったり、浴室暖房乾燥機を活用したりするのも有効です。お湯の温度は38~40度程度のぬるめがおすすめです。長湯は避け、10~15分以内を目安にしましょう。

また、入浴前後にコップ1杯の水分をとることも大切です。入浴中は思っている以上に汗をかき、脱水傾向になります。脱水は血圧変動を大きくする原因になります。

さらに、家族がいる場合は、入浴前後に声をかけ合うことも重要です。万が一の異変に早く気づくことができます。

日頃の血圧管理がカギ

ヒートショック対策の基本は、日頃から血圧を安定させておくことです。家庭血圧を測る習慣を持ちましょう。特に冬場は、夏より血圧が高くなりやすいことが知られています。

減塩、適度な運動、十分な睡眠といった生活習慣の見直しも重要です。血圧が安定していれば、急な変動にも比較的耐えやすくなります。

おわりに

ヒートショックは、冬の寒さと血圧の変動が引き起こす“体からの警告”ともいえます。しかし正しい知識があれば、多くは防ぐことができます。

「寒い場所から急に熱い場所へ移動しない」「お湯はぬるめに」「脱衣所を暖める」。どれも今日からできることです。

寒い季節こそ、血圧を意識した暮らしを心がけましょう。毎日の小さな工夫が、大きな事故を防ぐ力になります。


ふくおか内科クリニックでは高血圧の治療に力を入れています。
ご心配な方は、ぜひご相談いただければ幸いです。

ふくおか内科クリニック 
院長  福岡 勇樹

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